更新日:2020年3月2日

(15) 定期検診について

退院後の経過をチェックするために、定期検診は欠かせません。早期胃がんであっても、再発の危険性はゼロではないので、手術後5年間は医師の指示どおり診察を受けましょう。

治療後3年目までは3カ月~半年に1回受診

がんの再発は治療後3年以内(胃がんの場合は治療後1~2年以内)に起こることが多く、5年以上たってから再発することは少ないことがわかっています。施設によって多少異なりますが、治療後3年目までは3カ月~半年に1回、4~5年目は年1回のペースで検診が行われるのが一般的です。

ふつう、退院から10日~2週間後に1回目の検診があり、その1カ月後に2回目、その3カ月後に3回目の検診を行い、異常がなければその後3カ月~半年に1回のペースになります。

実際には、検診のペースは患者さん一人ひとりの状態で異なります。たとえば、早期胃がんで再発の心配がほとんどない人には、早めに年1回のペースになるでしょう。進行胃がんで再発の危険性が高いと思われる人は、ふつうよりも頻繁に検査を行います。また、手術で取りきれなかった人の場合は、がんが大きくなってきていないか、やはり頻繁にチェックする必要があります。

退院後は、「医師と二人三脚で再発の早期発見などに努める」と考えることが大切でしょう。

知っておきたい定期検診の例

 
退院    
1年目 退院から10日~2週間後 1回目検診
1回目検診から約1カ月後 2回目検診
2回目検診から約3カ月後 3回目検診
3カ月~半年に1回検診
2年目 3カ月~半年に1回検診
3年目
4〜5年目 1年に1回検診

●人間ドックも定期的に

手術後の定期検診は、残った胃や転移しやすい臓器を中心にみます。人間ドックなどで、定期的に全身の健康チェックをしましょう。

「残胃がん」や「重複がん」もチェック

定期検診でチェックするのは、再発の兆候だけではありません。実は、胃切除後に残った胃(残胃)にがんが新しく発生することもあるのです。これを「残胃がん」といいます。

また、食道や大腸などに新しいがんができることもあります。いくつかの臓器に別個に発生するがんを「重複がん」といいます。同じ時期に見つかった場合は「同時性重複がん」、あるがんを治療したあとに別に見つかる場合を「異時性重複がん」と呼びます。

これらの異常を早期発見するために、定期検診では、CT検査、腹部超音波検査、胃内視鏡検査、注腸検査(下部消化管造影検査)、血液検査などを行います。

定期検診では、再発や新しいがんの発生のほか、栄養状態や手術後の後遺症などを確認します。

要点Check胃がん手術後の定期検診の内容

  • CT検査→肺や腹膜などに再発がないか調べる
  • 超音波検査→肝臓などへの再発や、腹水がないか調べる
  • 下部消化管造影検査(注腸検査)・大腸内視鏡検査→大腸にがんができていないか調べる
  • 胃内視鏡検査→食道や残った胃に新たながんができていないか調べる
  • 血液検査、尿検査(腫瘍マーカー)→再発の可能性をチェックする
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