更新日:2020年3月2日

(10) 告知のときから始まる緩和ケアとは

精神的な苦しみや社会的な不安にも対応

多くのがんの患者さんと家族が直面する、がんという病気の衝撃、この先どうなるのかという不安、なぜがんになってしまったのかという苦悩。これらは生活の質(QOL)の低下にもつながるため、適切なサポートとケアが必要です。それが緩和ケアなのです。

WHO(世界保健機関)は、1989年に緩和ケアを次のように定義しました。「生命を脅かす疾患に伴う問題に直面する患者と家族の生活の質(QOL)を改善するための方策で、疼痛および身体的、心理社会的、スピリチュアルな問題の早期かつ確実な診断・早期治療によって、苦痛の予防と軽減を図ることを目標とする」

これを受け、日本でも緩和ケアを告知のときからとり入れ、患者さんや家族が、少しでも安心して治療に取り組めるようにするしくみづくりが始まったのです。

緩和ケアチームとは

告知のときから始まる緩和ケア

「緩和ケアチーム」は、病院の中で診療科の枠を超えて組織され、医師、看護師、薬剤師、医療ソーシャルワーカー、心理士、理学療法士などリハビリの専門職、管理栄養士など、多職種が参加しています。この中には、精神症状の緩和に習熟した医師(精神腫瘍医※など)も含まれます。

入院中の患者さんだけでなく、緩和ケア外来として外来の患者さんにも対応する緩和ケアチームも増えています。また、在宅療養中の患者さんの自宅を訪問してケアを行う在宅緩和ケアも広がっています。

がん診療連携拠点病院には、必ず「緩和ケアチーム」が設置されています。

※精神腫瘍医とは
がんや、抗がん剤などの薬物によって起こる精神症状を診断し、治療する精神科医。

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