(6) 内視鏡的切除
口から内視鏡を入れて、病変部だけを特殊な器具で切除する内視鏡的切除は、体への負担が少ない治療法です。対象となるのは、胃の粘膜内にとどまり、リンパ節転移のない早期胃がんです。
がんの形や大きさで切除方法を使い分ける
胃がんの内視鏡的切除は、ポリペクトミー、内視鏡的粘膜切除術(EMR)、内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)の3種類です。がんの形や大きさによって、それぞれを使い分けます。
ポリペクトミー
早期胃がんの隆起型(Ⅰ型)に対して行われる。茎のあるがんが対象。
summary胃がんの内視鏡的切除①
ポリトペクトミー
EMR、ESD
隆起や陥凹の少ないがん、おもに早期胃がんの表面隆起型(Ⅱa型)や表面平坦型(Ⅱb型)表面陥凹型(Ⅱc型)に対して行われる。
EMRやESDが行えるのは、胃粘膜にとどまり、リンパ節転移のないがんです。「胃癌治療ガイドライン」では、胃の粘膜内に留まる分化型がんのうち、潰瘍を伴わないもの、もしくは潰瘍を伴う3㎝以下のものを対象にするとしています。
Dr.’sアドバイス内視鏡的切除の対象は拡大している
EMRよりも広い範囲を切除できるESDの登場で、粘膜内にとどまるリンパ転移のないがんであれば、大きさが2cm以上でも、内視鏡的切除を行う施設が増えてきています。
治療後の注意点
内視鏡的切除は、手術当日と術後1日目は絶食ですが、ほとんどの人は術後2日目から食事が始まります。また、手術当日でも麻酔が覚めればトイレに行くことができます。
手術中は鎮静薬、鎮痛薬を使うため痛みを感じることはまずありません。手術後数日間は、軽い違和感や痛みが生じますが、徐々に軽減します。
手術後に気をつけたいのは、治療した部分に穴があいてしまうこと(穿孔)や、止血した部分の再出血です。強い痛みやおなかの張り、発熱、血の混じった嘔吐、黒いタールのような便や血の混じった便などがあったら、すぐに担当医や看護師に知らせましょう。
切除したものを詳細に調べる病理学的検査を行った結果、がん細胞の悪性度が高かった場合、切り取った断端にがん細胞が認められたりした場合、がんが粘膜下層よりも深くまで達していた場合、未分化の細胞が多い場合は、外科手術を行うことになります。