日本臨床外科学会 令和6年度優秀論文賞 受賞コメント
1)原著
第85巻2号
「抗血栓療法継続下での鼠径部切開法による鼠径部ヘルニア手術の安全性」
広島市立舟入市民病院外科
亀田 靖子他
この度は優秀論文賞に選出いただき、誠にありがとうございます。鼠径部ヘルニアは多くの外科医が経験する疾患であり、抗血栓療法中の症例も増加傾向にあります。周術期の抗血栓療法への対応は疾患や術式ごとに異なり、考え方も様々ですが、鼠径部ヘルニアに関して本論文が参考になれば幸いです。最後になりましたが、査読をいただいた先生方、編集委員の先生方、およびご指導いただいた先生方に心より感謝いたします。今回の受賞を励みに、今後も臨床や研究に精進して参りたいと思います。
2)臨床経験
第84巻11号
「高齢者(72-94歳)の閉鎖孔ヘルニア嵌頓に対する低侵襲治療の経験」
国保多古中央病院外科
藤井 康矢他
多古は千葉の中でも田舎で、多古米で一部の方に知られている地域です。自分は若い頃に北海道の釧路で働いていましたが、多古でも似た感情を抱いておりました。それは、患者様やコメディカルと良い意味で距離が近い外科医、またガイドラインに沿った治療だけでなく、何かあった時のアイデアや引き出しの多さ。もちろん、うまく行かないこともありますが、このような先生になりたいと思い働いていたのが懐かしいです。慈愛や人間味を感じるこの多古中央病院で、このような賞を頂けて大変光栄です。ありがとうございました。
3)症例報告 ①乳腺・内分泌領域
第85巻5号
「ペンブロリズマブ併用術前化学療法でpCRが得られた乳腺基質産生癌の1例」
新潟県立中央病院外科
佐藤 友威他
この度は優秀論文賞に選出頂き大変ありがとうございます。多くの論文の中からの受賞で、非常に嬉しいのはもちろんですが、大変驚いております。普段から一人一人の患者さんに最良の治療を提供するために悩み、患者さんとshared decision makingしておりますが、悩んだ経験が次に経験する先生方のためになればと思い症例報告を書いております。今回の受賞を励みに、同じ姿勢を継続していきたいと思います。共著者の病理医 酒井先生、病院スタッフ、査読の先生方、編集の方々、関係の先生方に心より感謝いたします。
3)症例報告 ②上部消化管領域
第84巻11号
「保存的治療を行った胃癌穿孔の7例」
立川相互病院外科
高橋 雅哉他
今般の受賞は思いもよらぬことにて、ひどく恐縮しております。初稿の原型がなくなるほど査読・ご修正いただいた先生に感謝申し上げます。本論文は、20年にわたる胃癌穿孔の保存治療をまとめたものです。表彰は、日夜、営々と患者さんに向き合った、先輩、同僚・スタッフの医療活動をご評価いただいたものと心得ております。いずれ公にはかるべき経験だと考えておりましたので、掲載いただき安堵いたしました。幸いにして、近年、胃癌穿孔例の搬入はとみに減少しましたが、さらなる検討により治療が確立されることを期待しております。
3)症例報告 ③下部消化管領域
第85巻8号
「下部消化管穿孔後に急激な転帰を辿った血管型Ehlers-Danlos症候群の1例」
磐田市立総合病院消化器外科
三須 敬太他
この度はこのような賞をいただき, 誠に光栄に思います。本症例は私にとって非常に心象深く、外科医人生に大きな影響を及ぼした1例です。残念ながら救命出来ませんでしたが、今後この希少疾患の治療に本論文が一助となれば幸いです。今後も医師として社会に貢献することを忘れず、診療・学術活動ともに勤しんで参ります。最後に、今回の診療や論文投稿に際してご指導・ご協力いただいた皆様、貴重なコメントをいただいた査読者や編集の方々に、この場を借りて心より感謝申し上げます。
3)症例報告 ④後腹膜・腹壁領域
第84巻11号
「Progressive preoperative pneumoperitoneumを行った腹壁瘢痕ヘルニアの1例」
立川綜合病院外科
蛭川 浩史他
拙著「Progressive preoperative pneumoperitoneumを行った腹壁瘢痕ヘルニアの1例」を優秀論文賞に選出頂きましたこと、大変光栄に存じます。ヘルニア診療に対する熱意を胸に、日々臨床と研究に取り組んで参りましたが、このような形で評価をいただけたことは、私にとって大きな励みであり深く感謝致します。拙著の受賞が、我が国の腹壁瘢痕ヘルニア診療発展のための、ささやかな一助となることを願います。今後も、微力ながら医療の発展に貢献できるよう、より一層の精進を重ねてまいります。
3)症例報告 ⑤肝・胆・膵・脾領域
第85巻1号
「腹腔鏡手術を行った漏出性胆汁性腹膜炎を合併した急性胆嚢炎の1例」
国立病院機構名古屋医療センター外科
伊藤 将一朗他
この度は栄えある令和6年度優秀論文賞にご選出頂きありがとうございます。思わぬ朗報に驚きましたが、大変嬉しく思います。今回の論文は、日常臨床の中で遭遇した漏出性胆汁性腹膜炎を合併した急性胆嚢炎について報告しました。臨床の一例一例から何か医学の発展につなげようという姿勢を教えてくださった、名古屋医療センターの末永雅也先生をはじめとした先生方に感謝申し上げます。今回の受賞を励みに、今後も精進して参りたいと考えております。この度は誠にありがとうございました。
3)症例報告 ⑥心血管・呼吸器・小児・救急・その他領域
第85巻10号
「肺非結核性抗酸菌症に対する手術治療後の遅発性感染性胸壁嚢胞の1例」
徳島赤十字病院外科
山本 清成他
この度は優秀論文賞に選出頂き誠にありがとうございます。ご指導頂いた石倉久嗣先生、同科共著者の先生、病理診断科の笠井孝彦先生、査読者の皆様に心より御礼申し上げます。非結核性抗酸菌症による遅発性の手術部位感染という、非常に稀な症例を経験し、感染症に対する集学的治療の重要性を再認識することができました。この症例報告が第一線で活躍される皆様の一助になることを願います。今回の受賞を励みに、より一層精進して参ります。