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一般のみなさま
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山本 伸 会員(東京女子医科大学病院 消化器病センター)撮影
2016年4月 江戸 大櫻

更新日:2019年8月23日

1.胆石症とはどんな病気?

1)胆石とは

胆石(たんせき)とは肝臓(かんぞう)や胆嚢(たんのう)、胆管(たんかん)にできる結石です。結石(石)がどこにあるかによって、肝内結石、胆嚢結石、胆管結石(総胆管結石)という名称がついています。一般的には胆石症というと胆嚢結石症を指します(図1)。

図1.胆石のできる場所

胆石のできる場所

人体には、腎臓でできる腎結石、すい臓でできる膵石、胃の中にできる胃石、消化管の中でできる糞石、尿路にできる尿管結石や膀胱結石などがありますが、それぞれ結石ができるしくみが違います。

2)結石ができるしくみと結石の種類

胆嚢結石ができる原因はいくつかあり、できる胆石の種類も原因によって異なります。胆石の種類の中で最も多いのはコレステロール結石といわれるものです(図2)。

図2.いろいろな胆石

いろいろな胆石

コレステロールは肝臓で代謝されるのですが、一部は胆汁の中に溶け込んで排出されます。胆汁の中には、コレステロールや胆汁酸、リン脂質などが含まれています。コレステロールと胆汁酸のバランスが崩れると、胆汁中でコレステロールが結晶化して析出します。胆嚢粘膜から分泌されるムチンというたんぱく質によってコレステロールの結晶がくっつきあって結石になっていきます。これがコレステロール結石ができるしくみの一つです。結石ができるその他の原因としては、胆汁の細菌感染(ビリルビンカルシウム石)、溶血性疾患や肝硬変症(黒色石)などがあります。
胆管結石は、胆管そのものでできる結石と胆嚢から移動してくる結石の二種類があります。胆管で結石ができる仕組みははっきりしませんが、胆管の拡張による胆汁のよどみや、胆管から十二指腸につながる部分(乳頭部)の機能不全と大腸菌の感染、などが関与していると考えられています。

3)胆嚢はどんな臓器か(図3)

図3.胆嚢はどんな臓器か

胆嚢はどんな臓器か

右上腹部にある肝臓の下面にくっついている臓器が胆嚢です。胆嚢の位置は、右の肋骨の下の奥のほうにあります。肝臓では消化液である胆汁が作られ、胆管という直径約0.8cmの管を通って肝臓から十二指腸に流れ込みます。胆汁は一日に600~1000ml産生されます。これがすべて直接に十二指腸に流れ込むわけではなく、胆管の途中に枝分れして存在する胆嚢にも一時的に貯蔵されます。胆嚢は、握りこぶしぐらいの大きさ(長さ約8cm)のナスのような形の袋で、肝臓にくっついて固定されています。胆嚢の働きは複雑です。胆嚢内に胆汁を一時的に貯蔵することにより胆管の圧力を逃がすリザーバーのような役割のほか、貯蔵している胆汁内の水分や電解質を吸収し、濃縮した胆汁を作ります。油脂の多い食事をしたり、卵を食べたりしたとき、胆嚢は収縮して胆汁を十二指腸に送り出し、油脂の分解を助けます。

4)疫学:男女比、関連疾患、遺伝、胆嚢癌

これまで、胆嚢結石は女性に多いといわれてきましたが、最近は傾向の変化があるようです。2013年の日本胆道学会による全国調査では胆嚢結石、総胆管結石、肝内結石のいずれも男性に多い傾向が認められました。
最近は人間ドックや集団検診が普及し、かつ超音波などの画像検査法が発達してきたため、胆石が見つかりやすくなっています。一般人口の約10%のひとが胆石を持っているといわれています。
胆石の形成には、肥満や妊娠、糖尿病、甲状腺機能低下症、脂質異常症などのほかに、長期の絶食状態や胃切除後状態なども関与しているといわれています。
胆石そのものは遺伝する病気ではありませんが、遺伝性の疾患(溶血性疾患)で胆石ができやすいことが分かっています。体質は受け継がれるので、食習慣や生活習慣が似かよっている家族で何人も胆石を持っているということもあります。
胆嚢結石症が胆嚢癌との因果関係は分かっていません。ただし、胆嚢癌の人では胆嚢結石を合併している頻度は多いことがわかっています。胆嚢結石がない人と胆嚢結石症で胆嚢の摘出術を受けた人を比べると、胆石があった人のほうが胆嚢癌の合併率が高かったという報告もあります。したがって、胆嚢結石が検診などで発見されたら、無症状の人でも定期的に検査を行って、胆嚢癌の兆候がないかチェックすることが大切です。