トップ > 一般のみなさま

一般のみなさま
投稿写真

万代 恭嗣 会員(JCHO東京山手メディカルセンター)撮影
2016年7月 鳴門海峡の夜明け

更新日:2019年6月25日

3.成人の鼠径部(そけいぶ)ヘルニアの治療法

成人鼠径部ヘルニアの治療は?

一般診療所や内科でも鼠径部ヘルニアの単純な診断はできる場合もありますが、鼠径部(そけいぶ)ヘルニアの正確な診断や治療は外科医師が担当します。治療を目的とする場合には、外科医のいる病院や診療所を受診してください。

現在の医学では手術しか治療法はありません。脱腸帯という体の表面から膨らんだ部分だけを圧迫するベルトがありますが、これはヘルニアの穴を抑えているだけで治療になりません。圧迫の方法を間違えると状況によっては飛び出した内臓を傷つける場合もあり、使用には正確な知識と注意が必要です。

治療は飛び出した臓器をおなかの中へ戻し、その穴を閉じることになります。治療には手術が必要となり、ヘルニアの穴(ヘルニア門)を何らかの方法で人工的に塞ぐことになります。1990年以前は筋肉を縫い合わせて治す方法(組織縫合法)が主流でしたが、手術後の痛みが強く、社会復帰も遅く、長い経過ではもう一度穴が開いてしまう再発が多く、現在ではほとんど行われていません。1990年以後は、人体に使用しても安全なポリプロピレンやポリエステルなどの人工物の網(メッシュ)を用いて修復する方法(メッシュ法)が主流となりました。過去30年で日本の手術方法は大きく変わり、現在でも様々な網(メッシュ)を使用したメッシュ法が日本では行われています(図8)。近年では腹腔鏡下手術によるメッシュ法の割合が大きく増加しています。現在行われているメッシュ法は従来の組織縫合法に比べると再発や痛みが少なくなりました。

メッシュ法の中でも現在日本で行われている手術の方法はいろいろありますが、それぞれの手術に特徴があります。手術を受ける前には担当の外科医師に詳しく相談して治療法を決定してください。

図8.日本における鼠径部ヘルニア手術術式の変遷

日本における鼠径部ヘルニア手術術式の変遷
出典:日本内視鏡外科学会:内視鏡外科手術に関するアンケート調査 第14回集計結果報告‐.日鏡外会誌,2018,23,754-759