4.吐血・下血に関する注意点
最後に、吐血・下血に関して特に注意していただきたいことをまとめます。
1. 吐血・下血は非常に大切な体の異常サインです。必ず医療機関を受診するようにしましょう。
2. 吐血・下血の原因となっている病気を早く診断し治療を進めていくために、出血の量・色調・出方、出血に随伴する症状を手掛かりとして病態を予測していくことが大切です。これらについてしっかりと確認しておきましょう。
3. 既往歴(消化性潰瘍、肝疾患、腸疾患、動脈硬化性疾患、心疾患など)、服薬歴(非ステロイド系消炎鎮痛剤、副腎皮質ステロイド、抗生物質、抗凝固薬など)についての情報や、最近の内視鏡検査の結果なども診断の手掛かりとなります。
4. 特に高齢者の方は、さまざまな理由で鎮痛剤を日常的に内服していて、消化管出血の原因として多い胃潰瘍や胃炎が起こりやすい状態になっていることがあります。また、脳梗塞や心筋梗塞、心房細動などの病気に対して、血管が詰まらないように抗凝固剤を服用していることがしばしば見られます。これらのことは、吐血・下血にとっては勿論不利なことですが、自分判断で内服を中止すると原疾患の悪化を招くこともありますので、担当医と相談していくことが大切です。
5. 出血量が少ない場合には、肉眼的に血液を確認できる状態である吐血・下血を認めずに、次第に貧血が進行していくことがあります。病気の早期発見、吐血・下血の予防には、検診などで定期的に血液検査や便潜血検査などを受けておくことが大切です。
6. 吐血・下血は消化管の病気によるものです。そしてそのほとんどは小腸以外の部位に原因があり、上部あるいは下部消化管内視鏡検査という現在汎用されている検査によって病気の診断をつけることが可能です。上部あるいは下部消化管内視鏡検査を積極的に受けていくことが大切です。