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一般のみなさま
投稿写真

山本 伸 会員(東京女子医科大学病院 消化器病センター)撮影
2016年4月 江戸 大櫻

更新日:2019年5月27日

(3) 特徴(他の消化器がんとの違い)について

1)解剖学的特徴

食道は胃や大腸と同じ消化管ですが、胃や大腸と違い内側の表面が扁平上皮という皮膚と同じ組織の層で薄く覆われており、日本人の多くがこの扁平上皮からがんが発生します(扁平上皮がん)。

2)がんの飛び火(転移)

食道の周りには血管やリンパ管が豊富なため、胃がんや大腸がんよりも飛び火(転移)しやすいと言われており、これが治りにくいがんと言われる由縁です。転移は、リンパ行性転移(リンパ節)と血行転移(肝・肺・骨など)にわかれます。胃がんや大腸がんでは、ある程度深く進行しなければリンパ節転移を生じにくいのに対して、食道はリンパ管が網の目のように豊富であるため比較的早い時期よりリンパ節転移をおこすことが特徴です。また胃がんや大腸がんでは、がんに近いリンパ節より順に転移が広がっていくことが多いのですが、食道は頸部〜胸部〜腹部と細長い消化管でありリンパの流れが豊富であるため、がんの場所と関係なく、頸部〜胸部〜腹部の3つの領域のどこにでも転移をおこします。

3)がんの周囲臓器への広がり(浸潤)

胃や大腸の外側は漿膜と呼ばれる組織の層に覆われていますが、食道にはこの漿膜がなく(形式的に外膜と呼ぶ)、周囲の臓器と密接しているために、食道がんが進行すると簡単に周囲の臓器(気管・気管支や肺、大動脈など)まで広がり(浸潤)やすいと言われています。

4)他のがんとの合併(重複)

食道がんは、他の臓器に発生するがんと合併(重複がん)することが多く、その割合は約20%もあります。この重複がんは、転移とは異なり、全く別の部位(臓器)にがんが発生するものです。同じ時期(同時性)に発生することもあれば、あとから(異時性)に発生することもあります。食道がんの重複がんとして多いのは胃癌、頭頸部癌(咽頭癌、喉頭癌など)、肺癌などがあげられます。