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一般のみなさま

投稿写真

金子 公一会員
(埼玉医科大学国際医療センター呼吸器外科)撮影
2014年5月 足利の大藤
(栃木県指定天然記念物)
更新日:2015年6月18日

(2) 医師の説明を聞く

検査を受けたあと、結果と診断を聞くことになります。がんであることを告知されるのは、患者本人はもちろん、家族にとっても大きな衝撃です。医師からの説明をどのように聞くとよいのでしょうか。

患者本人が病気を理解することの意味

がんの告知はつらい場面ですが、患者さんが自分自身の病気について正しく知ることには、さまざまなメリットがあります。それは、たとえば次のようなことです。

  • 事実を知ることで、病との闘いに積極的になって治療法を自ら選択できる
  • 医師や家族との間にうそがなく、ともに情報を共有することで信頼関係が生まれる
  • これからの人生の時間を有意義に使える など

患者さん自身が病気について正しく理解して、納得して治療を受けることは、その後の生き方に大きくかかわってきます。はじめは大きなショックを受けたけれども、「大切なもの、支えてくれる家族の愛に気づいた」「人生を見直すようになった」という人も数多くいます。

家族や信頼のおける人に同席してもらう

がんを知らされたときは、「頭が真っ白になる」ほどの衝撃を受けたかもしれません。そのときのことを振り返って、「医師の説明や話をほとんど覚えていない」「がんという言葉だけが頭の中で繰り返されて、医師の説明は理解していなかった」という人も少なくないようです。

そのため、病院からは家族などの同席をすすめられます。

告知もそうですが、治療に関することや療養生活など、医師や看護師、薬剤師、栄養士などの説明は、家族などといっしょに聞くようにしましょう。

ただ、患者さんだけでなく、家族も同様に衝撃を受けて混乱してしまうことが少なくありません。そんなときは、気持ちが落ち着いてから、再度、医師から説明を受けるとよいでしょう。その場合は、聞きたいことを整理しておき、面談の予約をとりましょう。

memo医師とじょうずに対話をするためのポイント

●家族に同席してもらう

●聞きたいことをメモしておく

●医師の了承を得て録音

●あとで疑問などが出てきたら再度面談を申し込む
●面談を申し込むときは、看護師などを通じて予約をとる

Dr.'sアドバイス胃がんの手術を受ける前 主治医の説明を聞くポイント

胃の手術をしたあと体がどう変わるのか、なかなか想像がつきにくいと思います。そこで、主治医には、特に次のことをしっかり確認しましょう。

  • 胃のどの部分を、どれくらい切除するのか
  • それによって、手術後どのような症状が起こりやすいか
  • 胃切除後の症状を、できるだけ予防する生活の工夫

主治医の話は患者さん一人ひとりに合った内容ですので、十分理解しておくことが大切です。

また、同じ手術を受けても、患者さんの体の状態などによって手術後の治療や回復の過程は違います。ほかの患者さんとくらべて不安にならないようにしましょう。

要点check主治医の説明の際、必ず聞いておきたいこと

  • その診断は確定しているのですか
  • どのような種類のがんですか
  • どの部位にできていて、大きさと数はどれくらいですか
  • がんの広がりは、どの程度ですか
  • がんの病期は、どの段階ですか
  • 転移していますか
  • どのような治療法がありますか

家族が共有する意味とは

かつて、患者さん本人にがんと知らせることは控えられていました。その理由はさまざまですが、がんがいまよりもずっと治りにくい病気だったことが一因です。

しかし、近年は、治療技術が進歩し、けっして不治の病ではありません。また、自らの病気に関する情報を正しく知り、治療法などを自己決定することが重要視され、がんの告知率が高まるようになりました。

ところが、「がん告知に関する世論調査」(2007年、時事通信社)では、自分自身は「がん告知を希望する」人が約8割という一方で、「家族ががんにかかったら、本人に知らせる」という人は約4割にとどまりました。

また、がん患者の遺族会が会員にアンケートをとったところ、「がん告知を受けた患者さんの約2割は、家族から知らされた」という結果が出ています。

これらの調査結果には、家族関係を大事にするという日本の傾向があらわれていると同時に、がん告知は、家族が深くかかわる問題だということがわかります。

独身やひとり暮らしでがんにかかる人も多く、家族のあり方は人それぞれですが、身近な人、信頼を寄せる人と、事実や気持ちを共有することには大きな意味があります。つらい気持ちを分かち合い、支え合うことで、きずなが深まり、大切なことに気づくきっかけにもなる可能性があることを、忘れないでおきましょう。

COLUMN医師とよい関係を築くために コミュニケーションのポイント

主治医と信頼関係を築く

信頼関係を築く

対話を通して信頼関係をつくるための基本は、「相手の話をよく聞く」「共感する」「相手の言葉を反復しながら相手の気持ちに寄り添っていく」などです。

医師と患者の場合も同じです。主治医の話をよく聞き、自分の言葉で繰り返して確認しましょう。主治医の立場や考えをわかろうとする気持ちも大切です。

信頼されていると感じると、医師としても支援しようという気持ちが高まってきます。面談の最後には、「ありがとうございます」と感謝の気持ちを伝えることも忘れたくありません。

要領よく質問する工夫を

質問は要領よく

数多くの患者さんが訪れる病院では、どうしても診療時間は限られます。ほかの患者さんが待っているのに、不安な気持ちばかりを訴えて、貴重な時間を無駄にしないようにしたいものです。

主治医には、病気や治療、症状などを中心にポイントを絞り、聞きたいことを効率よく聞けるよう、質問の手順を考えるとよいでしょう。

ただ、ときには私的な話をすることで親密感が深まることもあります。モラルやマナーを守って、主治医や病院スタッフとよい関係を築きましょう。